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          メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第037号       ’00−03−24★

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     だれのせい?

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●カルロス・ゴーン氏

をCOOとして迎え入れた時の日産自動車・塙社長の言葉は忘れがたい。

 

「みんなお任せしちゃいました」。 まるで他人事(ひとごと)でしたから。

それに続けて、(それまでの日産が)「<他責の文化>だった、、、」とも。

 

「それであなたは?」と取材者が切り込まなかったのは遺憾。 とにかく、 

 

 

その文化じゃダメ、はお分かりだったが、そこまで。 社長の彼も、それを

変えることは出来なかった。 やむなく代わりに、出来そうな人を迎え入れた

、、おや、さすが<他責>の総元締め。 リーダー失格の告白、でしたな。

 

代わりを見つけ、全て任せたのは彼の功績、とする説もありました。 それ

なら「任せた」人はもう無用の存在。 なのに何故依然? と思っていたが、

どうやらこのたびゴーン氏、社長就任。 なるほど、ユッタリした社風、、。

 

新聞の見出しには「執行役員も大幅入れ替え」とあるが、実は30人のうち

僅か6人、それも「いずれ子会社などに転出」の由。  一々手ぬるいなあ。 

 

*   *

 

新潟女性監禁事件で、報告を受けながら官官接待に励んだ県警本部長が解任

され、例の通り識者のコメント多数。 その中の一つ、赤塚行雄氏の指摘は、

 「今の日本ではどこの組織の責任者も、自ら進んで責任を明確にし、同じ

 過ちを再び繰り返さないための措置なり、改革なり、けじめなりをつけて

 潔く辞めるということを決してしない」。 

 

改めて「今の日本」と断わるまでもないのに。 そんなの役所的(本来的

elite ではない)エリートにおいては、ずっと<昔から>でしたから、ね。

 

困るのは、<官主導>の影響で、それが<国中>規模になってしまったこと。

影響力ある立場の人が、良くない影響を及ぼしているとは自覚せずに行動し、

それが度重なるうち、みんな、あれでいいんだ、になってしまったようで。

 

しかし私企業、税金で賄われているのではない、どころかその税金を納める

ことが義務。 「わたしゃ知らんよ」では成り立つまい、と気がもめます。

 

日産自動車の「ルネッサンス」、もし本気なら、これまでの役員全員とその

側近たち、まとまって<完全に>姿を消すところから始める必要がある、、、

 

しかし誰も、自分からは言い出さなかろう。 そこで塙社長最後のサービス、

先頭に立って彼ら一団を<消去>して下さる、、 なんてのはどうだろうか、

と期待したのですが、、 やはりムリだったようで。

 

*   *   *

 

アメリカの大統領制度は何とも複雑怪奇な仕組みで、予備選だ、党大会だ、

まる1年大騒ぎしますが、その仕上げは首都ワシントンの大異動。

 

政権が替われば、中央省庁の主たる政治任命役職者、数千名が替わります。

辞めざるを得ない人は次の就職先を、替わって入ってくる人は住居を、、、

でテンヤワンヤ。  「一新」とは、そこまで徹底すべきものなのですね。

 

「これをしよう!」という<目的>で組織された<企業>であればこそ、何か

不都合が見いだされたなら、「こう変えよう」があっても不思議ではない。 

 

「一新」のメダマが<大統領>なら、企業では<社長>に決まっています。

にも拘わらず、助っ人に「全部お任せ」した後も(たとえ暫くの間であった

にせよ)そのまま居座っておられた塙社長は、(そのつもりではなかったで

しょうけれど)「今まで通り、ノンビリやろう」のメッセージを発信したも

同然でした。 ショックを与えないための配慮? いや、<与えた方が良い

場面>ではなかったのか?、、  私には不思議でした。

 

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●「不思議だ!」は、しかしながら、

やはり<部外者ゆえの発想>なんでしょうな、この国では。

 

「この国では」、、か。 何だか<日本人論>みたい。 比較文明論の類は

近ごろご無沙汰だったが、、、 そこにどんなヒントが見つかるかな。

 

 

新潟の女性監禁事件と京都の小二刺殺事件、どちらも不思議な事件ですが、

どちらも母子関係に原因ありとする説があります。 言い換えれば、父性の

不在。 そこで久しぶり、手に取った伊丹十三/山本七平(ああ、どちらも

故人になってしまわれた!)の対談記録でしたが、こう出ていましたよ。

 

伊丹:要するに母子関係ですね。 お母さんと赤ん坊のような、二人で一人の

   関係というふうなものを、極端に延長し、拡大して、すべての対人関係

   の理想としよう。 これが一番美しい人間関係なのだ、というわけです

   が、残念ながら、この関係は閉じちゃうんですね。 で、閉じるという

   ことは、内と外という区別を非常に強く持つということですね。 一家

   一村水入らず、ムラの中は和気藹々だけれども、外の世界は鬼の住む

   世界で、何の関係もない。 従って外に対しては何のモラルを持つ必要

   もない。

山本:内部の矛盾は全部外におっかぶして、なるべく内部の和を保ってれば

   いいんですよ。 、、、 和が絶対だから、矛盾は全部外に押し出す。

   外はカンカンに怒るわけですよね。 しかし中では、みんな涼しい顔

   してる、、、、

伊丹:どうも不思議な国に生まれちゃったもんですねえ(笑)

              「フランス料理を私と」文芸春秋/1987 p.190

*   *

 

ほらね、誰にしても「不思議」なんですよ、この国の文化は。

 

事件の当事者も、不手際続きの警察も、ついでながら日産も、みんな<内輪>

に毒されて、、とは断言しないが、見当はつきます。 となるとこの国では

どこでも誰にも、これからも、いくらでも、ヘンなことが起き得るな、、と。

 

どれほどヘンなことでも、<内輪>でOKなら、<外>を気にせず押し通す。

外から圧力がかかる時だけ、(納得はしないが)状況に合わせてやり過ごす。

しかしそれは一時の方便、ほとぼりが冷めれば、たちまち本来性に立ち返る。

 

国会の党首討論だって、そのレベル。 突っ込む方も、もとが<同じ文化>

だから、歯切れ良くはないし、浅い。 受ける側の答えは、通り一遍、木で

鼻を、、。 基本的に<まずい>とは決して思っていないこと、ありあり。

それを報道する新聞もTVも皮相的。 みんな自分の<甘さ>には無自覚。

 

それでいて、どの立場の人も、それなりには<考えて>行動しているつもり。

皆さん、それが<ジコチュウ>ってものですよ、、と声をかけたくなります

が、かけたところで、、、、まあ結局、ワカランでしょうなあ。

 

*   *   *

 

そんなジャパニーズ方式で、アングロ・サクソン的グローバル・デファクト

・スタンダードに対抗すること、出来るのかしら?、、、

 

なんて疑問形婉曲表現は無益。 答はすでに明らか。 絶対(滅多に用いる

べきでない<ゼッタイ>、と常々自らを戒めておりますが、これは保証付き)

出来ない、に決まっています。 

 

目的と結果の食い違い、論理の前後不一致、行動根拠の不明確エトセトラ。

そんなことで、グローバルに通用させられるわけがありません。 

 

何故かこだわってウチとソトを分け、ウチに意識を向けた努力しかしないの

が<日本文化>。 こりゃやはり<特殊>だし、好いてもらえないでしょう。

 

本来ソトと協調するのでなければ、話も通じない、商売も出来ない、まして

尊敬を受けることになど、なるはずが無い、、 国や会社のレベルで見れば、

容易に分かること。 だから当然、<個人>レベルでも、、、 なのに、 

 

そんな<常識>が、家庭でも学校でも、滅多にしつけられることが無いのは

大いなる不幸。 もはや自助努力による改善あるのみ、と私には思われます。

 

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●ソトへの意識

 

を伴った行動。 それを説明するのに何か良い例が、、、 と見回して、、

たとえば、そう、石原東京都知事の<対銀行外形標準課税>案。

 

 

東京を没落から救い、日本再生の起爆剤にしよう! で、敢えて蛮勇?を

振るうとは、近ごろ珍しい<男性的>なお話ではありませんか。

 

たちまち批判が集中しましたな。 不公平だ、とか、抜け駆けだ、とか。

しかし彼は独裁者でもテロリストでもない。 地方自治体の首長として、

しかるべき手順を経て立案し、議会にも提出、承認を受けてのこと。

 

もちろん、その実務は専門家が担当。 この件では大塚主税局長でしたが、

機密保持の万全もさることながら、事前シミュレーションの緻密さが特に

印象的でした。 さらに知事の発表から先、どんなことが起こり得るか、

時間の経過に沿って描き出し、それぞれの場面で担当者がどう対応するか、

そのトークまで作成してありました。 (NHK・クローズアップ現代)

 

だから「よく問題を起こす人だ」、「品が無い」と言われようが、ビクとも

しない。 むしろそう批判した人の方が、その後<問題を起こ>したことは

ご存知の通り。 この国を閉塞的状況に追い込んだ側の人らしい最期でした。

 

*   *

 

ダイナミックな試みであるほど、危険も伴う。 成功させるには、相当の

準備や予備行動が必要です。 Rational Process では<潜在的問題分析>。

大塚主税局長の<台本>は、まさにそのものでした。 お見事!

 

東京都のこの試み、ただ楽観は出来ませんが、投じられた一石には違いあり

ません。 さぞ勇気と知能を要したことでしょうが、石原知事や大塚局長は

<出来る人>たち。 すべきことすべて、手を抜かずにしておられました。

 

*   *   *

 

意欲が旺盛なところに運が伴えば、<トップ>はカリスマ性だけでリード

することも出来ます。 が、実行部署のリーダーはそれだけじゃ済まない、

論理性が求められます。 そこが分からないトップも少なくないので困る。

 

カリスマ・リーダーは、論理性ある部下を何故か「リクツっぽい」と嫌い、

<働かせない>ものですが、石原知事は大塚局長以下を<働かせ>ました。

同じ人材が、青島前知事や鈴木元知事の当時、すでにいたはず。 しかし

両知事、何故か<働かせない>で終わりました。  <他責の文化>で? 

 

東京都を<自治>体に保ちたい、石原知事のステートメントは明確でした。

その色々な MUST、WANT を最もよく満たす案として浮上した<外形課税>。

そして推進担当部署の、<潜在問題分析>そのもののシミュレーション、、、。

これは明らかに、<他責の文化>とは異質のパターンではありませんか?

 

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●<ソトに通用させる>

 

には、<ソト>を念頭に置き、「こちらから仕掛けることだ、、」という

能動的前提で思考を重ねる必要があります。 内輪の考えではあり得ない。

ゴーン氏があちこちで質問の矢を放ったのも同様、能動的頭脳作業でした。

 

皆さんの<上>が、そのように<考え方>を指導して下さるか? もし

そうでなければ、自分で学ぶほか、<ソト>の時代に耐えて行ける人に

なる方法は無い、と覚悟しなくてはならないでしょう。

 

 

しかし、Take it easy!  そこに Rational Process あり。 さらに

あなたには「おたすけマン」あり、ですからね。

                          ■竹島元一■

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